自宅で開業を目指す方へ

自宅の一室をレッスンルームにして英会話教室を開業するには、特に資格も登録も必要ありません。
株式会社や有限会社として会社を立ち上げる場合は勿論、手続きをして登録する必要がありますが、個人事業として行う場合は煩わしい事はいっさいなく、屋号を決め看板を揚げて近所にアピールすればもう立派な教室です。
自宅に場所を設けずに、地域の公民館をつかったり生徒さんの自宅の一室をお借りして出張レッスンで行うことも出来ます。
しかし、やはり折角やるならば、より多くの人に知ってもらい、多くの人に通ってもらえるような教室を目指したいですね。
これから教室開業を目指す方の為に、私が今まで経験して感じた事やノウハウを
お伝えします。

【英語力はどれ位必要?】
まず、人に英語(英会話)を教えるのにどれ位の英語(英会話)力があれば良いかという事ですが、勿論高い英語(英会話)力があるにこした事はありません。
英語関係の資格もあれば役に立つと思いますし、留学経験があればそれも大いに
役立つでしょう。
しかし、そうした資格や留学経験がないからなれないと言う事ではありません。
英会話講師にとって一番必要な事は、相手のニーズを読み取る事、そしてその目的に向かって一緒に歩んでいく姿勢です。
子供クラスを行うには、子供が好きな事は必須です。
特に子供に教えるには、英語力より子供への適応力の方が重要です。
教わる子供の気持ちになれるか、とりわけ出来ない子・ふざける子・クラスに馴染めない子の気持ちを読み取れる様にならなくてはいけません。
些細な事で怒ってばかりいる先生に教わったら、子供の方が悲劇です。
また、親御さんとのコミュニケーションも必要です。
レッスン時に何を学んで来たのかを、説明出来る子はそんなに多くはいません。
また、子供に”家でも習った英語を使いなさい”と要求する親がいますが、親が話相手になって、英語で受け答えをしてくれるならともかく、周りはみんな日本語なのに、一人で英語を使うのは嫌だ...と思うのは当然でしょう。
親にしてみたら、楽しく通ってはいるものの、何をやっているのかも分からない、家で全く話さない、月謝を無駄にしているだけかもしれない、と感じる様に
なるかもしれません。
子供に取ってはいくら楽しく、それなりの力が付いていたとしても、それを親に
伝えられなければただの講師の独りよがりになってしまいます。
そうした事態を避ける為に、日頃からまめに親御さんと話をしたり、毎月レッスン内容を手紙でおしらせする・レッスン内容をホームページ上に載せるなどの対策をしておかなくてはいけません。
大人のレッスンでは、それなりの英会話力は必要です。
資格で言えば、英検2級・TOEIC600点くらいはあった方がいいでしょう。
上級ビジネス英語、専門的な事を教える場合には英検準1級・TOEIC700点はある
方がいいと思います。
もし、自分の能力以上のものを学びたい人が来たら、正直に自分の英語力をお話
した方が無難です。
しかし、英会話教室で学ぶ人の目的は様々です。
ビジネスで使いたい人、留学したい人、海外で働きたい人、資格取得のため、
字幕なしで映画がみたい、海外旅行で使える英語を覚えたい、近所の外国人と
友達になりたい、若い時に出来なかった勉強を今したい..等、本当に多岐に
わたります。
中には、英会話が一番の目的ではなく、話相手を求めて来る方もいます。
今、当校に来ていただいている方で最高齢の方は80代の方です。
ぼけ防止を兼ねて、毎回少しづつでいいから簡単な単語とフレーズを覚えたい
と言う事でした。
80代にしては考え方も若いですし、難しい英単語を知っている時もあるので、
ついついあれも教えよう これも教えよう、と考えてしまいがちですが、この方の希望はぼけ防止にはしたいけど、せかせかやるのは嫌だ というものです。
あれもこれも詰め込みでやってしまっては逆効果です。
グループレッスンの場合は、体験レッスン時にそのクラスのレベルと目的をしっかりと説明する、個人レッスンなら始めにニーズを聞き常にそのニーズに合った
レッスンを行っているか確認することが大切です。

【生徒の募集方法】
個人で教室を始めるにあたって、まず苦労するのが生徒の募集です。
よほど知り合いが多く、最初から生徒になってくれる人がいる場合は別ですが、
普通は何らかの方法で生徒を集めなくてはいけません。
14年前、私が教室を立ち上げた時は地域の情報紙のメッセージ欄に載せる事から始めました。自分のアピール文とともに、「子供に英会話を教えます。出張レッスン致します。」と載せてもらいました。それまで5年程、子供英会話教室に勤めてレッスンのノウハウはある程度分かっていたので、生徒が集まりさえすればレッスンをスムーズに進める自信はありました。
しかし資金があまりなかったので、費用の掛かる新聞広告はやめて、安価な情報誌に文字広告を載せてもらいました。
幸運なことに情報誌に載せて間もなく一人の方から連絡をいただき、兄弟2人で
クラスをスタートさせることが出来ました。
当時出張レッスンを行っているところはまだ少なく、共働き等で送り迎えが出来ない家庭のニーズがあったこともあって、始めの方からの紹介で2組の方を紹介していただきました。
もう一つ幸運だったのは、お母さん方が集まって子供用の英会話サークルを作り、そのサークルの先生を探していた、と言う方から連絡をいただき、そのクラスを公民館でやらせてもらうことが出来た事です。
まとまった人数のクラスは、収入的に単価が高くなる(サークルなので、月謝設定は安めです。)のも良い点ですが、少人数のクラスと比べるとアクティビティーの幅が広がり教えやすくなります。
ちなみに、公民館でこうしたサークルを行う場合は、先生自らが部屋の予約等、事務手続きを行うと、利益目的とみなされて貸してもらえないところが多いです。サークルメンバーの中から一人代表者を決めて、そうした手続きを行ってもらうようにします。
私の場合、お金をかて大々的に宣伝をしなかったので、始めの1年くらいは英会話の収入だけでは生活できず、午前中はバイト午後からレッスンと言う生活をしていました。もし準備金が十分あるなら、一気に募集してしまった方が楽かもしれません。新聞広告などで幅広く募集すれば、それだけ体験レッスン希望者も増え、すんなりレッスンを始められるかもしれません。
体験レッスン希望者がパラパラで年齢もバラバラの場合は、生徒一人での開講と言う事になります。
中にはそれでも構わない、とおっしゃる方もいますが、最近の傾向としては英会話プラス友達作りを目的とする方が多いので、少なくても2人以上集まらないと開講出来ない時もあります。
また、一人二人での開講だと特に小さなお子様のクラスでは、出来るアクティビティーが限られてしまい、マンネリ化になってしまう場合もあります。
なかなか理想的にはいきませんが、1クラス4人〜6人で始められればベストだと思います。
生徒募集の方法には他に、広告を作って自分でポスティング・業者に頼んでポスティング・幼稚園や保育園にダイニングメール・近所で仲良くしているお店や地域のスーパーの掲示板に貼ってもらう・ホームページ・繁華街でティッシュ配り・都市によっては、外国人や外国に興味のある人の為の掲示板を公民館などに設けてある場合もあるので、そのような掲示板を活用する、などがあります。
私も、ほぼ全部のやり方を試してみましたが、新聞広告が一番信頼され反応もありました。
広告作りも、デザインに自信がない人はプロにお願いした方が確実です。
広告デザイン会社は、地域のマーケティングも行っているので、相談しながらやれば、見栄えの良い広告作りと配った方が良い地域を教えてくれる場合もあります。
私が新聞広告で押さえたいポイントは、
・目立つ、見栄えの良いデザイン
・シンプルで読みやすい(高齢者でも分かるもの)
・地域の同業他社と比べて、うちにしかない点をアピール
・その広告をみたら、ホームページをみてみたくなるような工夫
です。
また、広告を出す時期は非常に大事です。
折角高い費用を掛けて広告を出しても、時期を間違えると全く反応なく終わって
しまう事もあります。
多くの人が新しい事を始めようと考えるのは新年度の4月〜ですから、2月〜3月に募集広告を出すのがベストです。
夏休み明けの秋も狙い目です。
大手のカルチャーセンターのクラスは、10月開講というものが多いのでそうした広告をみているうちに習得意欲が増す人もいます。
そこに便乗させてもらい、9月に広告を出すといいでしょう。
その2シーズンを押さえたら、あとは予算と相談しながら随時必要な時に出して
いったらいいと思います。


【部屋の広さは?何が必要?】
部屋の広さは、レッスンをどの様に行うかによって変わってきますが、6畳はあるといいと思います。子供のレッスンで、体を動かしながら行うレッスンの場合は8畳あるとやりやすいです。
あまりごちゃごちゃと物が置いていない部屋の方がいいですね。
開講時から揃えておきたい備品はそんなに多くはありません。
大人のレッスンでは、机を用意した方がいいと思いますが、子供のレッスンには
大きな机はなくても大丈夫です。
床に直接座れる様に、畳の部屋か床にラグを敷くなどして、折りたたみ式のテーブルを用意した方が便利です。
他に必要なものは、CDプレーヤーくらいです。
ホワイトボードは、あれば便利ですがなくても出来ない事はありません。
子供クラスを演出する為の、可愛い飾りやチャートもあればいいですが、必須ではありません。
教材さえ揃っていれば、他の備品は後々少しづつ足していけば大丈夫です。
子供クラスの場合は、必要な備品をあれこれ考えるよりも、子供が怪我をしない環境に整える事の方が大事です。
子供がつまづいて転びそうなもの(コード類等)はないか、子供の目線に尖ったもの・硬いものは飛び出ていないか、床に滑って転びそうなものは置いてないか、画鋲等小さな物が落ちていないか..等色々あります。
週に1回1時間程といえ、大切なお子さんをお預かりするのですから、子供たちに怪我をさせない事が大前提です。十分注意してください。


【駐車場の確保】
自宅に生徒さんが沢山通うようになると、考えなくてはいけないのは駐車場の件です。元々沢山の駐車場をお持ちの方や、近くに使える空き地がある方はいいですが、都市部や住宅地では駐車場の確保は頭を悩ます問題です。
特に、路駐で渋滞を引き起こしてしまったりご近所の敷地に停めてしまったりしてはご近所付き合いに支障をきたしてしまいます。
中には、”たった1時間だから”と勝ってに停めてしまう人もいるので、体験レッスンの時に、停めてよい場所を確認しておいた方がいいです。
開講間もない時は、まだ生徒数も多くなく自宅の敷地内で賄えても、軌道に乗ってくるとスペースが足りなくなる事も考えられますので、将来的に駐車場スペースとして借りれる場所が近くにあるかどうかも考えておいた方がいいでしょう。
ご近所さんの理解を得て、仲良くやっていく事はとても大切です。
アポートやマンションの部屋をレッスン室にする場合は、お隣さんや階下の方にうるさくならないように配慮も必要です。

【月謝設定】
レッスン料の設定ですが、自分が住んでいる地域の英会話教室の相場を調査してから決めたらいいと思います。
私が住んでいる地域の子供クラスの相場は¥4,000〜¥5,000です。
残念ながら、子供英会話講師の収入単価はそんなに高くありません。
大人のレッスンに比べて、自分でゲームを考えだしたり教材を手作りしたり、子供の心理を的確に読んだり、特別なスキルが必要な上、手間は数倍掛かるのに月謝は大人クラスの半額程です。
収入のためだけにこの仕事を選ぶとしたら、きっと長くは続かないでしょう。
子供クラスは全般的に低価格設定の流れにあり、外国人講師が担当している子供クラスでもそれ程月謝は高くありません。
地域で立ち上げている英会話サークルやフィリピン人の先生が増えていることも
要因のようです。
しかしだからと言って、それよりも低価格に設定して安さを売りに生徒集めをするのも考えものです。
確かにお金を払う側にたてば、安い事は魅力ですが、あまりに安いと信用性に欠けますし、短時間で身にならないとすぐにやめてしまうことになります。
それなりのお月謝をいただいて、計画的にレッスンを行っていれば親御さんから
身になっているのかどうか分からない..とクレームが来ても、今はこの段階に
いてあとこれくらいでここまで出来る様になります、と説明することが出来ます。
それがあまりにも安い設定だと、出来る様にならない..と相談を受ける事もなく、やっぱり安いから無理なのね..と突然やめてしまうことにもなりかねません。
多くのネイティブが来日している今日、競争相手は沢山いますが、ネイティブなみに話せないからと悲観することもないと思います。
私も多くの外国人講師と接してきましたが、子供への教え方を的確に把握し、きちんと教えている外国人講師はそう多くはありませんでした。
勿論意欲をもって、取り組んでいる先生もいます。
しかし、正しい英語を話せることにあぐらをかいて、教え方まで追求しない先生が殆どでした。ひどい人になると、その1時間を適当に遊んであげればお金をもらえる..位の感覚の人もいました。
日本人の先生には、日本人の良さがあります。
欧米色が濃い今日ですので、レッスンを全くみないでとくかく外国人の先生が
いい、と言う人もいますが、そういう人は外国人にお任せしておけばいいのです。レッスンを体験してもらい、計画性のある丁寧なレッスンを見てもらえば、
必ず生徒は集まってきます。

地域によって違いはあると思いますが、私の地域の大体の相場は次の通りです。
・大人グループレッスン  ¥8,000/月
・大人個人レッスン  ¥3,000/回
・子供グループレッスン  ¥4,000/月


【外国人講師】
外国人講師を全く雇わず、自分だけで行う事も勿論出来ますが、出来れば数ヶ月に1度づつ、定期的に外国人講師に来てもらうといいと思います。
子供たちが覚えた英語が実際ネイティブスピーカーに通じるのか確認をすることもできますし、毎回同じ先生で単調化しているクラスに刺激を与えるのにも役立ちます。親御さんも、外国人が来る事できちんと英会話を学んでいるんだ、と安心する様です。
余裕があれば、毎回外国人に来てもらいペアティーチングで行うという方法もとれます。
しかし、生徒が多く集まらないうちは、外国人講師への支払いも大変だと思うので、数ヶ月に1度という方法でいいと思います。
私の住む地域は、外国人が多く住んでいる地域ですのでそれほど苦労無く、外国人講師を探すことが出来ますが、地域によってはそれも難しいかもしれません。
結婚後は、主人がアメリカ人ですので主人に来てもらうことが多いですが、独身時代は自分で外国人講師を探して頼んでいました。
まず、市や地域で行っている外国人支援センターの様な物があるかどうが調べてみてください。あればそこの掲示板に募集の紙を貼らせてもらったり、スタッフに引き受けてくれる外国人がいるかどうが聞いてみるといいです。
ホームページをお持ちなら、そこに載せるのもいいですし、外国人が集まりそうなお店があれば、そこに広告を貼らせれもらうのもいいでしょう。
勇気があれば、外で見かけた外国人に直接お願いしてみるのもいいかもしれません。しかし、信用性には欠けるので良く人を見極めてください。
お願いする外国人が決まってからも、あまり過信しない方がいいです。
経験もあって、どんなクラスでもこなせる..と言っていた人が、実はまだ日本に来たばかりで数クラスしかやったことがないという人もいます。
時間にルーズな人も多いので、レッスン時間の確認は、しつこい位にしてください。お願いするレッスン日の数日前になったらメールで確認し、前日と当日の朝にもメールか電話で確認した方がいいと思います。
レッスン内容の打ち合わせは、事前にFAXかメールでやってほしい内容を送っておくか、当日15分程早くきてもらってやるしかないと思います。
お願いするこちらとしては、レッスン内容をしっかり頭に入れて来てほしいと思いますが、事前にプランを渡しておいても、目を通してもらえる可能性は少ないですし、当日30分も早く来てもらって細かに説明したら、その分の時給を請求されるかもしれません。
何度も同じ外国人に来てもらえば、こちらのやり方も理解してもらいやりやすくなると思いますが、始めの内は説明しても理解してもらえなかったり、やってほしいことがやってもらえないこともあると思います。
しかし、数ヶ月に1度しかお願いしないのですからそれも仕方がないかもしれません。あまり気張らず、思い通りにならなくても子供たちが話す機会が少しでも与えられればそれでよし、と考えた方がいいかもしれません。
ちなみに、外国人講師への謝礼は私の地域の相場では、¥3,000/時間 + 交通費です。




















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